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『い、今すぐですか?』
「うん。急いでるの」
『あ、はい。でも……』
「でも何よ?」
急いでいるから、涼花はついイラっとする。
『あ、いや、まだ朝早いので』
「良いからとりあえずアポを取ってよ! こっちは急いでんのよ!」
『す、すみません』
花枝は社長に怒鳴られて、慌てて謝罪をした。
「あんたんちどこ?」
『え?』
「聞こえなかったの? あなたの家!」
『あ、はい。すみません。入間です。埼玉県の入間』
「入間? そんな遠くから、うちまで通ってるの?」
てっきり都内だと思っていたのに、埼玉だとさすがに遠い。なんせ時間がないのだ。
『すみません』
社長に一々怒鳴られて、花枝は泣きそうだった。
「ちょっと待って」
涼花は頭の中で、入間の位置を思い浮かべた。
近い! 逆に奥多摩に行くなら、入間は決して遠くはないのだ。
涼花はときめいた。
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