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「早速だけど、まず福岡家に向かうんだよね?」
走り出してすぐに、由紀夫が切り出す。
「あ、いや、先に入間」
涼花はルームミラーで、由紀夫の顔をチラッと見て答えた。
「いるま? いるまって、埼玉の入間?」
「うん。その入間」
「入間に何があるの?」
「あ、うちの従業員の子が入間に住んでいるんだけど、その子のイトコが探偵をやっているんだよ」
「へぇ、そうなんだ」
後部座席の由紀夫が腕を組んだ。
「何で? そんな遠くじゃなくても、近くに探偵事務所なんていくらでもあるんじゃないの?」
助手席の美奈都が口を挟む。
「いや、入間ならむしろ、奥多摩に近いよ。そっちの方が時短だ」
由紀夫がすぐに返した。
本当に由紀夫は頭の回転が速い。
涼花は心から、その存在が頼もしかった。
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