第5章 地獄の始まりを探して

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社長からの電話で、花枝は息を飲んだ。 全く持って、一々心臓に悪い。 『あ、花ちゃん?』 「はい」 『もうすぐ着くから、家の前に出て待っといて』 「は、はい。分かりました」 花枝は電話を切ると、急いで玄関へと向かった。 従兄で探偵をやっている島川浩之に電話をかけると、昨夜は遅かったらしく、まだ眠っていて文句を言われたけど、事情を話して頼み込んだ。 なんせあの社長を怒らせると、明日から会社での居場所がなくなってしまうのだ。 ポトクルファーで働けるということは、デザイナーを目指している若者にとっては、夢を実現するための最短距離だと言われている。 社長は若い才能にどんどんチャンスをくれるからだ。 逆に言うと、社長を怒らせれば、夢の実現から大きく遠ざかってしまう。 自宅の前で待機すること五分。社長の赤いスポーツカーが現れた。 助手席から女の人が降りて来ると、後ろの席に移動する。 「花ちゃん乗って」 「は、はい」 花枝は助手席に乗り込んだ。
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