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「ちょっと代わって」
信号待ちのタイミングで、社長にスマートフォンを取り上げられる。
「あのさぁ、アタシ。悪いけどしばらくの間、花ちゃんはアタシが預かるから、そっちはそっちでやっといてよ」
『は? 預かる?』
「そう、アタシの専属にするから」
『ちょ、社長! いくら社長でも急にそれはないでしょ。再来週のコレクションに間に合わないじゃないですか』
「うるさい! こっちは大事な息子の命がかかってんのよ! この件が片付いたら、アタシが寝ないで手伝ってあげるから! いいわね!」
社長は大声で怒鳴ると、さっさと電話を切ってしまった。
「すごいね。超ワンマン社長」
後ろの女性が呆れたような声を出す。
「そんなこと言ったってさぁ、陸斗の命がかかってるんだから、どう考えたってこっちが優先だろう」
「まぁ、そうだけどね」
「よし、花ちゃん。今から花ちゃんはアタシの部署の専属だから」
「専属ですか?」
「そう。この件が無事に終わったら、花ちゃんにラインを持たせてあげるから、協力よろしくな」
駆け出しの花枝にとって、夢のようなことを社長は笑顔で言った。
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