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「よし、それ、今夜アタシがやっとくから、とりあえず今はこっちを最優先ね」
「は、はい」
社長に見つめられて、花枝は頷く。
とはいえ、自分はただ従兄のところに、社長を連れて行くだけなのだ。
「あ、社長、そこを右に曲がってください」
「ああ、分かった」
社長が通りから路地へと車を進める。
「あ、あそこです。そこの広くなっているところに、車を停めても大丈夫です」
「分かった」
社長が車を停めると、花枝は真っ先に下りて、島川浩之の自宅に先導する。
浩之は花枝より一回り年上の34歳。
まだ独身で実家暮らしをしていて、川越にあるKTC探偵事務所に勤めていた。
門扉を開けて、玄関ドアの横のインターホンを押す。
「はぁーい」
中から叔母の島川由香里が出て来た。
「あら、花枝じゃない。どうしたのよこんな朝から?」
由香里は花枝を見て驚きの声を上げた後、背後の三人に気が付いて半歩後ろに下がった。
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