ほんの少しだけ、好き

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 約一週間の試験期間が終わり、夏休みがすぐそこまで迫っていた。夏休みの間も美術部の活動はお盆の期間を除き月曜日は全員出席なのだけど、いつものごとくなあなあになる気がする……と、そんなことを考えながら、ふと思った。瀬古くんは木曜日のレッスンをどうするつもりだろう?夏休みの間もわざわざ学校に来るタイプにも見えないし、やっぱり新学期が始まるまではお休みだろうか。  「おっ、今日はえーじゃん」  旧校舎の廊下を歩いていると、後ろから瀬古くんに声をかけられた。瀬古くんは私より先に来て美術室で待っていることが多かった。  「あっ瀬古くん、夏休みのことなんだけど……」  私が口を開いたその時、聞き慣れない声が廊下に響いた。  「テツじゃん。何してんの?」  声の先にはクラスメイトの男子二人が立っていた。声の主は金髪の須田くん。もう一人はワックスで髪をツンツンに立てた白石くん。私はどちらとも話したことはないけど、瀬古くんが出席番号の近い二人と喋っている姿は何回か見たことがあった。  「お前らこそ珍しいな。旧校舎に来るなんて」  「いやぁ、だってなぁ?」   須田くんと白石くんはお互いに顔を見合わせながらにやにやと笑っている。ああ、嫌だ。私はこの顔を知っている。  「あの吉岡が美術室に男連れ込んでるっつーからさぁ」   白石くんは私の顔を見ながらそう言って、下卑た笑いを浮かべた。
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