赤と青はどこまでも

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 こいつは続ける。 「今までは魂の減少分を我々が負担する状態だったのです。要するにキセル乗車ですね。なので本来お客様が負担されるはずだったものを本日、お支払い頂こうと……」  私は悟った。逃げられない。口調は丁寧だが、有無を言わせぬ雰囲気があった。 「でもどうして急に? しかも彼が地獄ってのは?」 「この業界も不況なんです。数年前から中学以上の方からは料金を頂くことになったのです。もう一つの質問はお客様自身が知ってると思いますが彼はあなたの魂を少しずつ盗んでました。盗む際に体温の低下等の症状がでるのですが……。なので当然地獄です」  どうやら私たちの死因は不況らしい。  彼のことはいわれてみると心あたりはあった。  けれど私は彼を信じる。彼と過ごした夜は偽りじゃない、彼の見せた笑顔は作り物じゃない。私たちは光で繋がってるんだ。 「なにいうの! 料金は払うから彼に会わせて!」  彼に会いたい。私の頭はそれだけが占めていた。 「お客様の場合ですと天国から地獄まで選択可能ではありますが……」 「地獄にいかせて!」  私は即答した。彼に会えない天国は地獄より地獄だ。 「かしこまりました、では少々お待ち下さい。まもなく地獄行きの車両が参りますので」  死神は仕事を終えたのか、徐々にその姿を曇らせていき、消える間際に思い出したように付け足した。 「またのご利用をお待ちしております」
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