第一章 ママ友

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 子供が一年生の時は心配で堪らない気持ちを毎日抱え、一週間近い学校公開期間には、一日も欠かさず授業を参観しに行ったりしました。お友達とお喋りしている姿を見て安心したり、授業中にキョロキョロしているのを見て後ろから小声で叱ったり…そんなことも、低学年までですね。  学年が上がってくると、もう授業も見慣れてきてしまうし…それに、ちょっと辛くなってくるんです。学力の違いが、明らかになってきて。手を挙げる回数とか、計算の速さとか、発言内容とか…うちの娘は引っ込み思案で、授業中他の生徒がハイハイと活発に手を挙げている中一人だけ手を挙げないとか、指名されても下を向いて何も言わないということばかりなのです。そんな姿ばかり見せられるのが何とも歯痒く、辛くなってしまって、いつの間にか学校に足が向かなくなってしまいました。いえ、娘は私の性格にそっくりなんですよ。だから恥じるなんてお門違いなんですけど、何なんでしょうね。子供には自分以上になって欲しいという、期待があるんですね。だからと言って、子供にはそんな事口にしません。言ったら可哀そうだと思うのです。私も変えたかったけれど変えられなかった性格だったので。  そんな事情があっても土曜日の授業参観に行ったのは、娘が赤ちゃんの頃から仲良くしているお友達のお母さんと会いたかったからです。  お願い事がありました。翌週の火曜日、急に実家に帰らなくてはならなくなったのです。  実家の母がギックリ腰になって、家のことが出来なくなってしまったのです。  姉が実家の近所に住んでいるので手伝いに行ってくれているのですが、その日は姉の義父が病院に行くため車を出してくれと頼まれたので、母の所に行かれなくなったそうなのです。  嫁ぎ先に実母ばかり大事にしていると思われたくないという、姉の気持ちは当たり前です。母の元に行くことを姉から頼まれ、私は快諾しました。  問題は、娘の菜摘なのです。  実家にいるのは、お昼前から夕方です。私がまだ帰宅しない4時前に、菜摘は学校から家に戻ります。そこが問題なのです。早生まれのせいか、菜摘はもうすぐ5年生になるというのに、学校から帰った時私がいないとダメなのです。寂しがって、泣いてしまうのです。
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