椿の花が笑う時

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 殺し屋に支払う金額の相場は三百万円。この金額を高いと捉えるか安いと捉えるかはその人の価値観によるが、対象者を殺したいという思いに比例して、金額はみるみる吊り上がる兆候を見せている。  誰でも殺し屋になれるわけではない。国の厳しい審査を通り、免許を授与された者だけが殺し屋を名乗ることができる。  そうでない者が同じことをしようとしても商売はなりたたない。殺し屋、暗殺者としての技術がないから。技術のない者が安い報酬で顧客を捕まえ、誰かを殺すのに失敗してしまっては、結局、犯罪者を増やしただけになってしまう。国はそんなことは望んでいない。  殺し屋側も依頼者の言葉を鵜呑みにして、誰かれ構わず殺したりはしない。あくまで行うのは必要な殺し。殺すのは不必要な人間。そのために人生を懸ける。  それが俺の仕事。
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