椿の花が笑う時

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 そしてこの少女は俺の新しいクライエントだったのだが、 「やっぱり私は認められないわ」  少女は食べ終わったグラスを勢いよく机に叩き付ける。 「どうしてそもそも人を殺すことは絶対ダメ! っていう考えに至らなかったの?」 「それを言いだしたら……というか、それを俺なんかに言っても意味ないぞ。国相手に物申してくれ」  少女は頬を膨らませた。  もう何も言い返してこないだろうと踏んだ俺は、 「それじゃ、仕事の話だ。その前に、お前、ちゃんと金はあるんだろうな? 子供の小遣いでどうこうできる話じゃないぞ」  この少女はどう見ても未成年。着ている服は近所の高校の制服。確か私立の学校ではあるが、親が金持ちだからといって、殺し屋を雇う金を子供に用意するはずもない。  しかし、少女は呆れたように溜息をついた。 「それは大丈夫。お金はちゃんとあるわ」 「いくらだ?」 「三百万。それだけあれば足りるでしょ?」 少女は少し得意げだ。だが、 「最低ラインだな」 「え、うそ。もっといるの?」 「近頃は倍の金額を払う奴もいる。仕事の難易度によってもっと上がることもある。この前の仕事でも五百万はいただいた」
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