青いポスト1

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「リサ、お手紙出したの?」 「今出そうとしてたところー!」 「今日中に出しちゃいなさいよ」 母親のうるさい声が、リサをマンガから現実に引き戻した。今日は雨降りのためテニスクラブが休みになり、せっかく優雅な1日を過ごせると思っていたら、やれ宿題だやれ手紙だと、朝からうるさいときたものだ。大好きな少女マンガを読みながらオレンジジュースを飲んでポテチをつまむ至福の時間を奪われ、リサは扉越しに母親を睨みつけた。 (あーあ、めんどくさっ。どうせお盆に会うのになんで手紙なんか書かなきゃいけないの) リサは文句を言いながら勉強机に座り、お気に入りのパステルピンクの便箋を取り出した。少し考えて、(どうせおばあちゃんだし、適当でいいや)封筒はそのままで、便箋は自由帳を一枚切り取ったものにした。小学校三年生にもなると、友達同士の手紙のやり取りが多くなり、可愛い便箋は一枚も無駄にできない。おばあちゃんに宛てるから無駄なのではなく、可愛さが分からない大人に使うことが無駄なのだ。
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