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やっとの思いでポストの前に着いた時には、服も靴もグチャグチャだった。すでに数メートル先ですら視界が悪くて見づらいほど雨が降っていた。
脇に挟んでいた手紙を取り出し、ゆっくり投函口に入れた時、リサはようやくポストの異変に気がついた。
(あれ、ポストってこんな色だっけ?)
今日のポストはやけに暗い色をしているように見えた。真っ赤なはずなのに、今日は青いような紫色のような、不思議な色をしていた。
(ま、いっか)
リサは雨のせいだと思って特に気にもとめず、手紙を投函して家へ走って戻った。
8月11日、リサが祖母の家へ行く2日前。リサ宛に手紙が届いた。封筒の裏に送り主の名前は書いていない。
(誰からだろう。でも、この字見たことあるんだよねぇ)
リサは少しドキドキしながら封筒を開けた。ピンク色の封筒から出てきたのは、白地の便箋。便箋ではなく、ノートの切れ端のように見えた。
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