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「どうし……て?」
「俺はおまえをそういう相手には見れない。血のつながりがなくても弟だ」
「じゃあ、誰なら見れるっていうの? 今までそんな人いなかった」
「それは俺にもわからない。俺は今まで、人を真剣に好きになったことなんてない。だから、来るものを拒まなかっただけで」
「何それ」
「最低だろ。でも俺にはそういう風にしか気持ち受け止めてやれないから」
あの肉体関係は、兄が自分に好意を持ってくれている相手に対して、してあげられる精一杯だったのだ。特定を作らずにとっかえひっかえ、相手が変わっていたのも、すべての相手に対して平等に与えた誠意。
人として褒められる行動ではないが、兄が考えた最善の返事だったというのか。
「じゃあ、俺のことも抱けるよね」
「は? 何言って……」
「俺の気持ちも受け止めてよ」
「バカ。俺とおまえは兄弟……」
「関係ないよ! なんでほかの人は抱けて、俺はダメなの?」
理不尽なことを言っている自覚はあった。言いがかりなのも認める。それでも自分は泣きながら、兄に訴えていた。なんであの女たちはよくて、自分は抱いてもらえないのか。
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