プロローグ

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 俺は、『一ノ瀬 透(いちのせ とおる)』と言う名前らしい。  らしいと言う不確定なのはどうしてか、それは俺が記憶喪失だから。  もう6年前になるんだろうか、それでも記憶は戻ることはなくそのまま俺は過ごしている。  俺を預かっていた祖父がつい最近亡くなって、俺は前に暮らしていたと言われたアパートに暮らすことになって最寄り駅から3駅先の高校へ転校することになった。  ゴールデンウイークの最終日の今日たった今荷物を運び終え、明日からは新しい学校が始まる。  携帯電話を見れば明日何時に来いと言う指示の連絡が入っている、軽く目を通して必要なところだけ見てパチンと折り畳み式の携帯電話を閉じた。最後まで見てもどうせ嫌味だろうから見る気もならない。  ……何にしても買うものだとか段ボールに閉じたものを開けても衣類しかないし、とりあえず買い物できるところや最寄り駅までの道を確認しに行こう。  そう思って、携帯電話と小さな財布と鍵を持って、家を出た。     
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