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「いやいや、ホンマ感謝してるで。休戦でもいままでに比べたらえらい進歩や。お陰で毎日のんびり暮らせとるしの」
オレが
「ふっ」
と鼻から抜けるように微笑むと、一瞬沈黙が流れた。静寂の中、突然奥の部屋から赤ん坊の鳴き声が聞こえてきた。
すぐそばにいる息子は美麗のおんぶ紐にぶら下がって、すやすや寝ている。
「そや、今度はわしの娘紹介したるわ。太路美、太路子連れてきいや」
すると奥の部屋から少しイライラしたような声が聞こえてきた。
「いま手離せないんだから、あんたがこっち来たらいいでしょ?」
オレたちはお互いに顔を見合わせ、苦笑いをした。どこの家庭も小さな戦争はポツポツ起きているようだ。ただそういった戦争の火種は赤ん坊の顔を見た瞬間に消えてしまうのだが。
みんなで隣の部屋に移動すると、そこではすっかり主婦と化した太路美が太路子のおむつを替えているところだった。
「太路美? すっごいやせたじゃあん」
息子を抱えた美麗が太路美に駆け寄った。
太路美はおむつ替えの作業をしながら、こちらに振り返る。こちらを見ながら、横目で最後のマジックテープを器用に貼りつけた。おむつ技術は若干地球の方が進んでる感じだな。
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