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「エクササイズなんてしなくても、赤ん坊の相手してるだけでどんどんやせてきちゃったわ。美麗はもともとがやせてるから大丈夫? やせ過ぎてペラペラにならないように気をつけなさいよ」
「太路美、口調が完全にお母さんね。ふふっ」
その後は、赤ん坊二人をそばで寝かせ、ユニを含めた五人で旧交を温めた。
あの日の話はもう完全に笑い話と化している。当時は命を賭けるほど真剣だったのに、不思議なものだ。
命を賭けるほどのことが、今後もあるかどうかはわからない。それでも、それくらい真剣に取り組まなければならないことは、これからいくらでもあるだろう。
でもあのとき、たくさんのドアを蹴破ったような力を発揮することはもうない。
みんな、手を取り合って、笑顔でいられる。
一度この快感を味わった者は、もうあの頃には戻れないのだから。
完
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