24人が本棚に入れています
本棚に追加
/153ページ
「いらっしゃいませ~~っ、お一人様ですか?」
「…………はい」
首だけ動かして来店客の対応をするナオ。いつものことだが、聞き慣れた声が聞こえ俺も振り向いた。
「おう、レイか。いらっしゃい」
「あの、アクマさーー」
「ええっ?!先輩っ、先輩の友達が女の子なんてあたし聞いてないよっ!」
「言ってないからな」
俺とレイを交互に見て目をキラキラさせるナオ。これだから、コイツに知られるのは嫌だったんだ。女は何でも色恋にすぐ結びつけるし……。
「あの、アクマさん……バイト先に、女性……いた、の?」
「ん?言ってなかったか?」
「うん……」
何やらレイは浮かない様子だ。どうしたものかと首を捻っていると、ナオがレイに近寄る。
「レイさんって言うんですね?あたし、ナオって言います!安心してください、あたしはーー」
レイの耳もと近くで小声で囁く。すると、レイは顔を真っ赤にさせ、慌て始めた。
ーーナオの奴、何言いやがった……?
俺の胸中にモヤモヤが広がる。
最初のコメントを投稿しよう!