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「……いつの間にか、店主さんが変わっていました。どうやら、二代目のようです。従業員さんカッコイイ! うん、ここまでは良いんだよ」
口コミの中の一つを開き、藁島が読みあげる。
【イケメン】と自分で言うだけあって、自然に褒め言葉は受け入れるようだ。
「でも、味は最悪です。代替わりして味が代わる店は結構あるけど、コレハヒドイ。卵サンドを頼んだのに、出てきたのは生ごみでした。目隠しをしながら作っているのかというほどの見た目、味も塩と焦げの塊を口に入れた感じで、最悪です。でも、コーヒーは美味しい。あと、日替わりのデザート(日替わりと言ってもプリンとアイスの二種類です)も美味しい。だけど、オズ自慢の魔法のランチはおろか、名物の卵サンドも他の料理も滅んだと思っていいでしょう」
そこまで読むと、藁島は投げつけるようにタブレットをテーブルに置いた。
あの卵サンドは不味かったことは否定できないが、辛辣な言葉の数々に私も同情してしまう。
「これだけじゃないんですよ。喫茶店で地獄を見た、とか。気分が悪くなって、千光寺まで登らずにホテルへ帰った、とか。ヤバいよ、ヤバい、マジヤバい、とか。喫茶オズは悪魔に乗っ取られたなんてのもありましたね。料理が売りの喫茶店だっただけに、日に日に評判は下がってゆき、今ではある意味有名な店になりかけています」
獅々田さんは藁島の投げ捨てたタブレットを手に取り、眉をひそめる。
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