二皿目・勇気のスフレオムライス

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「こういうサイトって、うちの店を掲載するなって頼んでも駄目らしいんだよね。まあ、書き込みは本当なだけに何も言えねぇけど!」 お手上げという風に藁島は両手をあげた。 その手を頭の後ろで組み、ぼんやり窓の外へ目を向ける。 「――ここ三か月くらいかなぁ、赤字続きでそろそろヤバいなー、とは思ってる。毎日余り物のプリンと不味い卵サンドを食べ続けたせいで、コレステロール値もやばい」 「それは、太陽君がラーメンばかり食べてるせいもあるでしょう」 「うん、尾道はラーメンが旨くてやめらんないっ! 背脂大好き! 汁まで飲み干すぜ!」 高笑いしながら、藁島は椅子に背を預けて天井を仰ぐ。 ここは笑った方がいいのだろうか。 冗談にしては上滑りしている。 悪く言えば、痛々しい。 「つまり、俺が言いたいのはさ。コストを削減するために卵料理しか出せないこの現状が、もうすでに末期なわけさ。獅々田さんのコーヒーと俺のプリンだけに頼るのも限界があってさ。いやあ、そろそろ潰れるかもねぇ、この喫茶店」 「そんなことっ……」 諦めを含んだ言葉に、私が抗議の声をあげようとした時だ。 古びた戸の開く音と共に、ドアベルの音が響いた。 「ごめんね、お客さんだからちょっと待っててくれる? ……いらっしゃいませぇ!」 藁島は立ち上がり、お客さんを迎えに戸口へ向かう。 それに続くように獅々田さんがカウンターへ入っていった。
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