二皿目・勇気のスフレオムライス

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「人それぞれ事情があるんだ。そうやって無遠慮に踏み込んでくるな。あのカカシ頭の藁島ですら、そんなことはしないぞ。お前はカカシ以下だな」 「カカシ、以下……」 「ドロシーちゃん、そんなに落ち込まれるとこっちが落ち込むんだけど」 唇を尖らせた藁島の隣で、私はうな垂れる。 「さっ、さあ、気を取り直して料理をしませんか? 時間がありませんしね」 明らかに士気の下がった私と藁島を見かねたのか、獅々田さんが手を叩いて鼓舞する。   彼の言うとおりだ。 落ち込んでいる暇などない。 私は藁島が用意してくれた白いエプロンを着た。 胸から膝まであるエプロンは昔、西ばあが着ていたものと同じだ。 懐かしい記憶が詰まったエプロンをまとうと、子ども時代の思い出がより一層蘇るようだった。 手を洗い、準備万端で料理をしようとしたが、肝心のレシピが分からないことに気づく。 「作るにしても、西ばあはあの子にどんな料理を出していたんだろう? スフレオムライスって、最近結構オシャレなレストランやカフェで見かけますよね。確か、メレンゲ入りの卵液をご飯にかぶせて焼いた料理だったような」 私が働いていたレストランはフランス料理店だった。 フランスのモンサンミッシェルでは、メレンゲ状にした卵を焼いて作るスフレオムライスがある。 そういうものに近いとは思う。 問題は下に敷くごはんの味だ。 確か、カレー味と愛花ちゃんは言っていた。 少しぴり辛のカレーピラフ。 それをおおうふわふわ卵。 戸棚にある食器を確認しながら頭を捻る。
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