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宣言した獅々田さんはいつもの弱気な顔ではない。 精悍で勇気のあるライオンのような風格すら感じる。 「アンタのまずい料理で、この喫茶店を守るなんてできるのか?」   彼の気迫に物怖じすることなく鉄平君は鼻で笑う。 「そ、それは……。料理はまずくても、コーヒーは美味しいですし、太陽君の作るスイーツもありますし」 「最近はこの辺りもカフェなんかが増えてきて、競争率も高い。その中で、コーヒーとスイーツで戦っていけると思うのか?」 「ううっ、どうしてそんなことを言うんですか。鉄平君はこの喫茶店が潰れて欲しいんですか!」 鋭いナイフのような言葉の応酬に獅々田さんはみるみる萎縮していく。 しまいには涙目で叫び出したところで私は気づくと手をあげていた。 「あのっ!」   大きな声を出すと、全員の視線が私に向く。 「私も、いいですか?」 「え、なに? 急になにが始まったの? あ、手をあげなきゃ発言できないんだっけ?」 獅々田さんと私を見比べ、藁島は手をあげようとした。 獅々田さんは首をかしげ、鉄平君は私を睨みつけるように見ている。 そんな中で深呼吸し、私は思いきり叫んだ。 「私をここで雇ってください、お願いします!」 弾みをつけて頭を下げると、緊張したせいでふわっと意識が飛びそうになった。
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