封筒とパンドラ

3/10
前へ
/12ページ
次へ
横で孝介が声を挙げる。何かと思えば、また変なものを見つけたようだ。 「倫太郎、これ何だと思う?」 そう言って孝介はB4位の大きさの茶封筒をこちらに突き出す。手に持ったそれは厚さの割に、案外軽かった。 「茶封筒だろ?どこに入ってた」 「棚の奥。今入ってるのに気づいた」 「そうか........ちょっと開けてみないか?」 軽い冗談のつもりで言ったが、案外孝介は中身が気になるらしい。 「........開けちゃうか」 そう言って孝介は封筒を開けようとした。だが背後から伸びた手に封筒を取り上げられる。何かと思い上を見上げた。 目に入ったのは、爽やかな雰囲気に眼鏡。 「あー、それは開けちゃ駄目」 身長のそこそこ高い男子生徒がそこに立っていた。.......しかし誰だこの人は。 「あ、北上川さん」 北上川、北上川。脳内で検索を掛ける。ああ、始業式で凄いテキパキと話していた生徒会の人か。しかし何故そんな天下の役員がこんな辺境の地に。もしや暇人なのか? 「久しぶりだ、佐々木。新入部員が入ったって聞いたけど、友達かな?」 「はい、そうです。無事部員が二人に増えました」 「じゃあ心配無さそうだな。いや、俺も生徒会の仕事があるからって言って勝手に辞めるだなんて言い出して申し訳ない。だけどこの様子だと大丈夫そうで良かった」 話から察するに、北上川は天文部を辞めるらしい。それが生徒会の忙しさ故か?とにかく、孝介の以前言った先輩とはこの人のようだ。 「まあ何とかやっていけそうですね」 お陰様で資金難だが。 「それは良かった。そんなめでたい君達に朗報だ。三人目の部員が入るようだぞ」
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加