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朗報として受け取れない。ただでさえ困窮しているのに、人が増えたら一人当たりに使える金額が余計に減るのだ。
「そうなんですか」
金銭事情も相まって孝介も冷めたような反応を示す。
「あれ、あんまり興味ない?」
困惑したような顔を見せる北上川。
「確かに興味が無いと言えば嘘になります。ただ.....」
「ただ?」
「今、それよりも気がかりなことがあるんです」
「気がかりな事?」
「その茶封筒の中身です」
予算のことじゃないのか。と、孝介の問いに俺は苦笑した。
そして北上川は言う。
「秘密だよ」
ここぞとばかりに孝介が食い付く。
「もしかして結構危ない感じのモノが入ってたりするパターンですか?」
危ない物。爆弾とか、国家機密の書類とか、いかがわしい内容の本だったり。解釈によっていくらでも中身は想像できる。
「いやいや、全然。ただあんまり見られたくないような物だったから」
「そうなんですか」
「まあ君達にも関わることだ」
「?」
「まあ兎に角、部活頑張れよ。後輩達。じゃあ一時間ぐらいしたら戻ってくるわ」
そう言うなり、北上川は部室から出て行った。颯爽と現れ、謎と小刻みな足音だけを残し颯爽と去っていく。まるで怪盗だ。
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