封筒とパンドラ

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「そうです」 「そっか。これからよろしく......って、早河さん?まさか天文部なんかに入るの?」 驚きとともに、自虐的な感情に溢れる孝介の台詞。 「あれ、佐々木さん......でしたっけ?はい、一応お邪魔だけさせて頂きます」 どうやら二人に面識があるようだが、ハキハキと流れるように話す孝介に対し、少々小さめの声で話す早河。対照的過ぎてなんだか可笑しい。心の中で少し笑った。 「知り合いなのか孝介」 「まあ一応。とは言ってもまだ知り合って一ヶ月経ってないけどね」 「.........学校で知り合ったって事か」 「ご名答」 そういえばこいつも5組だ。5組と言ったらこいつと木嶋と高木など、知り合いだと苗字に木の付く連中ばかりだった。そういえば彼・奴・もクラスは5だったような。 「早河さんって中学どこ?」 「今木西です」 今木西。名前だけは聞いたことがあるけど、どこだっけ。 「今西ってことはこの辺りかい?」 孝介が聞く。 「そうですね。自転車で15分くらいなので」 自転車で15分。毎朝1時間かけて投稿している俺達とは大違いだ。きっと毎日が快適なのだろう。 「やっぱりそっかあ。家近いって便利そうだよね」 俺と同じルートで帰る羽目になっている孝介が言う。 「多少寝坊しても遅刻しなくて済みます。あ、そういえば佐々木さんの中学はどこなんですか?」 「大山第二だよ」 我が母校、大山第二中学。生徒数と野球部だけが取り柄の地味な中学校だ。煙草にピアス、喧嘩。表沙汰にはなっていないが、大山市随一の隠れ不良校でもある。 「大山第二.....あの野球が強いところですか」 幸い、このように野球以外は有名でないので例えOBでも胸を張って生きていける。先生方の並々ならぬ隠蔽に対する努力の成果だ。
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