エピローグ part.1

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エピローグ part.1

昨日の夜は変な事の連続だった。 まず最初に夢を見たのだが、これが全ての元凶だ。内容自体は他愛の無いものであったが内容を思い出せない。それがどうしても気になってしまった。昨晩寝たのが10時で、目が覚めたのが0時くらいであった。そこからまた寝れたのは良いものの、今度はその夢の内容をひたすら思い出そうとする、阿保な夢を見ていた。 下手な漫画のような展開だと思うが、そんなことはどうでも良い。 問題は二度目に叩き起こされた時である。 布団に入ってしばらく経った頃、どこからか伝わって来たかすかな振動にまた目を覚まされた。 今度は地震でも起きたのかと思ったが、震えていたのは地面ではなく携帯である。見当違いもいいところだった。 部屋を見渡せば携帯は今本棚の上。幅4メートルの部屋の北側の端である。今自分が寝ている場所は南側の端。よって俺から携帯までの距離は4メートルであるのだが、そこまで歩くのは煩わしいことこの上ない。 と、ふと時計を見れば短針は2時辺りを差していた。こんな時間に電話を掛けてくるとは本当に何事だろうか。もしかしたら悪戯電話かもしれない。 何はともあれ電話に出てみないとどうなのかは分からない。寝惚けて縺れる足をなんとか操り、振動音を撒き散らしている携帯をひったくる。 画面には銀に少し緑の混じった髪に、黒い帽子を被ったキャラクターのアイコン。そこでようやく誰が電話なんてかけてきたのかわかった。嫌々着信ボタンを押すと間髪置かずに陽気な声が飛び込んで来た。 「やっほー。まさかとは思ったけど、起きてるとは流石に倫太郎だと言うべきかな?」 案の定声の主は佐々木孝介だった。相変わらず人の事情を考えない傍迷惑な奴である。なんで俺はこんな奴と仲良くしているのだろう。 「こんな夜中に電話なんて掛けてくるなんてなんだ、お前はふざけてるのか?」 「あはは。やっぱり怒ってる。まあどうせ寝れなくて本読むかゲームしてるかのどっちかだったんでしょ?」 「そんな筈ないだろ。今日はちゃんと早い時間に寝た」 「今日は、ねぇ...」 「一日やれただけやらないよりマシだ。千里の道も一歩からってやつだ」 電話越しにため息が聞こえる。 「そんな倫太郎の生活習慣なんてどうでもいいよ。とにかく今は倫太郎に頼みがあるんだ」
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