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使命と最後(2話)
季節は変わり、肌に突き刺さるような冷気がただよう冬になった。
青い鳥は今日も変わらず、空高くから人間達を見守る。
分厚いコートに身を包んだ子供は、子熊のように愛らしい。
僕は命が消費されていくのを感じながら、その幸せな光景を心のカメラに修めた。
‐人間達の幸せは保証されていない。だからまだ死んではいけない‐
そんな使命感が芽生えてしまったのは、いつからだろう?
これは本当に僕自身の本能なのだろうか?
それとも青い鳥としての―――「ピー ピー ピー」
かつての自分のように誇らしい鳴き声が、町に響き渡る。
青い鳥はすっかり抜け落ちてしまった自分の毛皮と、誇らしい鳴き声の持ち主である鳥の毛皮を見比べた。
鳥の毛皮は青い。
つまり、彼は僕と同じ青い鳥。
混乱しつつも、小さな頭で考えて、やっと理解した。
そうか。
僕は人間を守るという使命を終えてしまったのか。
代わりはいくらでもいるんだって、どうして今まで気が付かなかったんだろう?
青い鳥は濁った目から一筋の涙をこぼす。
そして、人知れず力尽きたのであった。
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