青い鳥(1話)

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青い鳥(1話)

幸せを呼ぶ青い鳥は、今日も空を飛ぶ。 風の流れに従って、小さな町を見下ろした。 子供達の喧騒が飛びかう町、 家の一軒一軒の灯りが心地いい町。 この町の幸福は全て、青い鳥の僕が切り盛りしていた。 僕という存在がいなければ、この町は不幸に包まれるだろう。 青い鳥は、赤い屋根の家に止まると再び思考を巡らせた。 僕は‐人間達が幸せに暮らしていける‐という保証がないと、死ぬに死ねない。 泣いたり笑ったり、とにかく忙しい人間達はまるで、我が子のようだった。 だから守ってやりたいと思ったのだ。 けして、青い鳥としての本能などではない。 僕自身の本能だ。 青い鳥は夕日が昇る空めがけて、飛び立った。 誇らしげな鳴き声が町に響き渡る。 「ピー ピー ピー」 今日も、僕は人間達を幸せにした。 そう信じて疑わなかった。
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