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社員旅行の間中、心の中でのたうち回る黒いものに耐えていた。
帰路についたバスで、車酔いしている三好を気遣い、サービスエリアで炭酸水を購入。
「これ、少しづつ飲むと、楽になるわよ」
と、すすめると
「有難うございます。本当に、涼子さんて、いいひとですよね」
と、三好が感謝の色を目に浮かべて言った。
「いいひと」
違うのよ・・・・・・・・・
そう思われるように、いつもふるまってきた。
「いい子ちゃん」なのだ、私は。
醜い自分を、人に見せたくない。
ただ、それだけ。
優等生の自分に、いつもどこかで罪悪感を抱いてきた。
自分の性格を隠そうともしないみのりちゃんに、惹かれる理由が、うっすらとわかるような気がした。
みのりちゃんは、自分にとても正直なのだ。
そんなみのりちゃんが、どこかまぶしかったのだ。
みのりちゃんに、恋人が出来ないわけがない。
自分の中で、いつも避けてきた事実。
みのりちゃんの恋人に、じりじりと焼け付くようなジェラシーを抱いていながら、平然としていられる私は、とても心の貧しい女なのだ。
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