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自分の感情を持て余しているうちに、社員を乗せたバスが、会社の近くの駅に着いた。
みんな、それぞれの、家路につく。
と、みのりちゃんが、私の横に並んで歩きながら、何気ない様子で
「涼子さん、ご飯食べて帰りませんか?」
「え?」
思いがけない誘いに、私は、戸惑い、次の瞬間嬉しくなり、そして、みのりちゃんに恋人がいる事実を思い出す。
そんな私の複雑な感情が、一瞬、返事をためらわせる。
「大阪城公園で降りましょう」
みのりちゃんは、途中の駅の名前を口にした。
わざわざ、途中下車。
昨夜の、私の手をほほに当てて、目を閉じていた姿が、胸をよぎる。
その誘いが、「特別」なものに思えた。
でも、みのりちゃんには、恋人がいるって・・・・・・・・・・・・
この誘いの意味を確かめたくて、私は、みのりちゃんに誘われるまま、いつもの地下鉄に乗り、二人で途中下車した。
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