社員旅行で、豹変。何があったの?

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暗黙の了解で、駅でみのりちゃんと別れた。 「電話しますから」 その言葉に、私は無言でうなづいた。 これから、恋人と、会う約束をしているのは、わかっていた。 社員旅行の時に、お土産を買っていたのは知っていた。 でも、不思議と、嫉妬の感情が沸かないのはどうしてだろう・・・・・・・・・ そして、自分でも怖いくらいの、満足感。 ずっと欲しかった洋服を、やっと、手に入れた時のような感覚に似ている。 とても、悪い方法で手に入れようとしているのだと、まだ実感が無いのかも知れない。 ふわふわとした気持ちのまま、そのまま、私の足は、デパートの下着売り場へと向かっていた。。 顔見知りの女性店員が、愛想の良い、笑顔を浮かべ「いらっしゃいませ」と言った。 私は、「勝負下着」という言葉が嫌いだ。 下着は、私にとって、毎日「特別」なもの。 相手に見せるものではなく、自分の気持ちを高めるアイテム。 美しい下着を身につけることは、私にとっては、神聖な朝の儀式・・・・・・・・ 新製品をチェックし、フィッティングへ。 サイズは、いつもと同じ。 お揃いのショーツと、キャミソールと、ガーターベルト。 そして、色違いのものも、素敵だったので、色違いで、もう1セット。 ふと、マネキンが着ている、ひときわゴージャスなレースの、黒いキャミソールが目にとまる。 重なる、繊細なレースがとても高級感がある。 カップと、肩紐の間についてる、真紅の薔薇のモチーフが印象的だ。 そのほっそらとしたマネキンの体つきに、みのりちゃんの体がだぶる。 「あと、これも下さい。」 「同じサイズで良いですか?」 「ええ・・・それから・・このくらいのはあるかしら?」 私は、さっき、腕をまわした手の大きさを示して、はっとして少し赤くなってしまった。 「このくらいですか?」 店員が、選んで取り出したものの大きさを確認する。 目算で、みのりちゃんなら、大丈夫と判断した私は 「じゃ、これも下さい」 自宅に戻り、部屋で、袋から丁寧に包装された下着を取り出す。 照明の下で、しなやかな光沢を放つキャミソールを、うっとりと見つめる。 近い日に、必ず・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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