逆襲

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渋滞の車の列。 ヘッドランプの河。 その中を、泳ぐように進んでいたタクシーが、カルティエの店の前で、ゆっくりととまる。 車を降りると、少し後ろの車の列のタクシーから、みのりちゃんが降りて、駆け寄ってくるのが見えた。 着いてくると思った・・・・・・ 「行くわよ」 言葉も無く、うなだれているみのりちゃんに、声をかけると、私は店へと足を踏み入れた。 香水の香りの漂う店内は、クリスマスイブだけあって、いつもより混雑している。 私は、ウインドゥに飾られているネックレスの前に、佇んだ。 小さなスポットライトに照らされた、ハート型のダイヤのネックレスだ。 店員に声をかけて、ネックレスを出して貰う。 ビロード張りのケースに移されても、美しく輝いているネックレスを一瞥し 「これを下さい」 と、言った。 でくの坊のように、ただ無言で側に立っていた、みのりちゃんの携帯が鳴る。 それを素早く取り上げると、 「このまま、私が出てもいい?それとも、黙って、このネックレスを買う?」
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