惨劇・残党狩部隊編・侵入

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それを目にしたミリアリアが思わず立ち上がりかけていると画像がダンジョン内部の画像へと切り替わった。 「……今は、侵入した連中に集中した方が良いわ」 画像が切り替わると同時にアイリスから声がかけられ、それを聞いたミリアリアは頷いた後に囮として先頭を歩かされている2人のエルフを見ながら躊躇いがちに声をかける。 「……このダンジョンに侵入した者は皆殺しにする気、なのか」 「……当然でしょ、あたしは貴女を追手から護る為にこのダンジョンを造ったのよ」 ミリアリアの問いかけを受けたアイリスは一拍の間を置いた後に返答し、その明確な答えを受けたミリアリアが思わず身体を強張らせていると、アイリスは穏やかな口調で更に言葉を続けた。 「……安心して頂戴、虜囚となってるエルフ達まで巻き込むつもりは無いわ」 その言葉を受けたミリアリアは思わずアイリスに視線を向け、アイリスは少しぎこちなく微笑みながら言葉を続ける。 「あたしが興味があるのは貴女だけ、でも、だからこそ、貴女の嫌がる事をするつもりは無いわ、だから安心して頂戴」 アイリスの少しぎこちない笑みと言葉、それを受けたミリアリアは暫し沈黙した後に躊躇いがちに隣に座るアイリスの手に自分の手を重ねながら口を開く。 「……すまない、貴女を巻き込みたく無い等と言っていた癖に、今の私は貴女に頼りっぱなしだ」 「……気にしないで良いわよ、あたしは魔王、あたしの行動は魔王であるあたしが好き勝手にやった結果なの、だから貴女が気に病んだり引け目を感じる必要は無いわ」 ミリアリアの言葉を受けたアイリスはそう言いながら重ねられてきたミリアリアの手を握りつつ視線を魔水晶へと戻し、ミリアリアは頬が熱を帯びるのを感じながら同じ様に視線を魔水晶に向けつつアイリスの手を握り返した。 手を握りあったまま魔水晶に映し出されている前進する残党狩部隊を見詰めるミリアリアとアイリス、ミリアリアの笹穂耳とアイリスの耳は握り合った手から感じる互いの存在にほんのりと赤く染まっていた。 アイリスがミリアリアを護る為に築いた地下要塞(ダンジョン)そこにミリアリアを追うロジナ候国軍残党狩部隊が侵入した、勝利に傲り、虜囚を嬲る享楽に現を抜かし、箍が緩んだ彼等はまだ知らない、自分達が自らの手で惨劇の幕を開けてしまった事を……
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