2人が本棚に入れています
本棚に追加
ミリアリアの答えを聞いたアイリスがそう呟きながら魔水晶を見ていると魔導士の掲げた杖が眩い光を放ち、その光景を目にしたミリアリアは渋面を作りながら呟いた。
「これで連中はこのダンジョンの規模を把握した事になる、発生間もないにも関わらず5階層を有する異形のダンジョンの実態をな、そんな状況を把握したんだ、恐らく慎重に行動するだろうな」
「……さあ、それはどうかしら」
ミリアリアの呟きを耳にしたアイリスは冷たい笑みで残党狩部隊を見ながら言葉を発し、ミリアリアが怪訝そうな表情を浮かべていると残党狩部隊が予想外の行動を始めた。
魔法をかけ終えた魔導士が結果を指揮官に報告すると指揮官はそれに対して頷いた後にダンジョンに向けて部下達を前進させ始め、そのあまりにあっさりとした反応を目にしたミリアリアは驚きの表情を浮かべながら口を開いた。
「……っど、どう言う事だ?スキャニングの結果、このダンジョンが異様な事は明白な筈、なのになぜこうも容易く侵入を命じられるんだ?」
「答えは簡単よ、彼等はスキャニングの結果に従って侵入しているのよ」
ミリアリアの驚きの声を聞いたアイリスは楽しげな口調と共に告げ、それを聞いたミリアリアが怪訝そうな表情で視線を向けると、冷たい笑みで魔導士を見据えながら言葉を続ける。
「あいつがスキャニングの魔法をかけた瞬間放たれた魔力波を吸収したの、そしてその魔力波と同じ波長の魔力波を返してあげたのよ、一本道で罠も何も無い出来たばかりのダンジョンの概略情報と一緒にね」
「魔力波を吸収して同じ波長の魔力波を返す、そんな事が……」
アイリスの言葉を聞いたミリアリアは半信半疑と言った口調で呟いていたが何かに思い至ったらしくその言葉が途中で途切れ、アイリスはそんなミリアリアに視線を向けて頷きながら口を開く。
「そう、あたしは魔王なのよ、それくらいの芸当何でも無いわ」
アイリスはそう言うと視線を魔水晶に戻し、指揮官の隣に立つ魔導士を蔑んだ視線で見据えながら言葉を続けた。
「……このダンジョンの正体の一端を知った時、どれだけ狼狽えるか見物ね」
ミリアリアがアイリスの呟きを聞きながら魔水晶を見ていると2人のエルフ(リーナとアリーシャ)がダンジョンに引き摺られて行くと同時に残るダークエルフ(ライナ)の所に残留する残党狩部隊の将兵達が群がり始め、
最初のコメントを投稿しよう!