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「やっと本音で話してくれたね」
そう言って、八王子くんは微笑んだ。
「高校受験の日、道に迷ってた僕を会場まで連れてってくれたこと覚えてる?」
「えっ?」
「やっぱり覚えてないよな。どこの高校?同じ会場だから一緒に行こうって高崎が連れてってくれたんだよ」
「あー!あの時の!えっ!?あれ八王子くんだったの!?」
八王子くんに言われるまで忘れていた。確かに私は受験の日に迷子になっている男の子に声をかけて会場まで連れて行ったことがあった。
「第一志望校だったからもう泣きそうだったよ。時間がなくて満足にお礼も言えなかったから校門で待ってたんだけど結局高崎には会えなくて。お互いに受かるかどうかなんてわからなかったけど、もしまた会えたらその時はって」
まさか八王子くんがそんなことを思っていたなんて……というより一度会っていたのに少しも気付かなかった私の目は節穴か?まあ受験本番でそれどころじゃなかったんだけどさ。
「僕は入学してすぐにわかったよ。だけど高崎は全然気づかないの。それで話しかけるタイミングも逃しちゃって。それに高崎どんどん可愛くなっていくから……僕、高崎が頑張ってたの知ってるから」
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