王子様はこんなことしない

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 八王子くんにあのもっさりした時代を知られているのは嬉しくないけど、私が努力していたことを知っててくれたのは嬉しい。え、どうしようすごく嬉しい。  「高崎はきっと誰かに恋してるんだと思ってた。だから告白されて嬉しかったよほんと。例え高崎が僕のことなんか覚えてなくてもそれでよかった」  な、なんて健気なの……というか私はどうして八王子くんのことを少しも覚えていなかったんだろう。時代が時代なら腹を切って死ぬべき。  「でも僕に気を使って全然本音で話してくれなかった。何言っても、どっちでもいいよとか八王子くんに任せるよとか自分の意見一切言わないし……だからわざとキツ言い方して怒らせようとしてた。試すようなことしてごめん。それなのに高崎は怒りもしなければ理由を聞いてくることもないし、もしかして彼氏がほしかっただけで別に僕と付き合いたいわけじゃなかったのかなってそう思ってあんなこと言った」  良かれと思ってしたことがあらぬ誤解を招いていたみたい。どれほど私が八王子くんのことが好きか、私の頭を開いて全部見せたいくらいだよ。  「あー本当に男らしくない。最低だ。普段僕こんなんじゃないのに高崎相手だと調子狂うんだよ。女子から王子様、なんて呼ばれてるの知ってるけど本当の王子様はこんなことしないよ」     
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