王子様はこんなことしない

　桜が舞う頃、私は王子様に恋をした。彼に釣り合う女になろうと必死になってダイエットした。ファッション誌を買って自分に似合う服装を研究して、メイクの練習をして。不器用なりにヘアアレンジも覚えた。もちろん勉強だって頑張った。だって試験の順位が張り出された時に彼女の名前が下の方にあったら恥ずかしいでしょ？
　再び桜が舞う季節がやってきて、私はまた王子様と同じクラスになった。そして座席は王子様の隣の席だ。これはきっと神様が与えてくれたチャンス、そう思った私は約二か月にも及ぶイメージトレーニングを重ね、満を持して王子様に告白をした。一世一代の大告白だ。王子様は優しく「はい」と言ってくれた。ああ神様本当にありがとうございます。それから私の薔薇色の日々が始まるはずだった。