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飛び入りのネット予約のお客さんで、私も小川も夕方は忙しく過ごせた。私は出来るだけお客さんを人間と感じ無いようにして意識を集中して作業したけれど度々やってくる映像の波の様な幻覚は自分の力ではどうしょうもない障害になって、結局作業が終わる時には身体も心も憔悴しきっていた。「お疲れ様?まつ毛ありがとう?なんかさあ、体調悪いみたいだから気をつけてね、明日予約無かったよね?ネット予約もとりあえず取らない様にしても大丈夫だよ…公休かえても大丈夫だから無理しないでね…何かあったら連絡下さい!じゃあ。」気持ちは合コンなのだろうに、私の昼間の形相が相当応えた小川は気を利かせて帰って行った。さようなら小川…私は心で会釈をした。
仕事の道具を詰め込んでパンパンになってしまった鞄を隠すみたいにもちながら私は駅前のカフェをキョロキョロした。一番奥の席で手をあげてこちらをみている女がつかつかと近づいてきた。「山本紗良さんですよね?ご連絡頂きました。私佐藤由紀ともうします。宜しくお願いします。飲み物どうしますか?私カフェオレ先に買ってきましたので…」
「宜しくお願いします!山本です。じゃあ…今私も買ってきますね。」「お荷物席に置いて置きますよ…重そうだし。」占い師の佐藤は柔和な笑顔だった。ブレンドのブラックコーヒーをテーブルに置いた。「急に連絡したのに来ていただけて助かりました。実は今日…」私が喋りだした直ぐ様佐藤は割って入った。「待って下さい!今からおっしゃりたい事私が当ててみてよいですか?」にっこりとしながら自身タップリな佐藤は40代半ばのごく普通の女にみえた。「小川さんが、自分の前世の話をした後に、何かしら小川さんに接触した。そうしたら小川さんの色々な映像が浮かんで来た。お客様に、直接接触すると色々な映像が浮かんで来て施術に集中出来ない…今後どうすれば良いか。こんな感じではないですか?
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