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そう言われながら、二人で玄関へ出る。アウディはボクの右手を取るや否や、かしまづいて、ボクの右手の甲にキスをした。
ボクはドキッとしながら、アウディを見つめた。女性に対してする仕草をされて、恥ずかしい気持ちになる。
「さあ、僕の手を取って。足元に気を付けて。」
昨日の夜雨が降っていたせいか、足元は泥でぬかるんでいた。
おまけにヒールのせいでとても歩きにくく、ボクは転びそうになった。
「おっと。大丈夫?」
アウディがボクを支えて、顔が向き合う体制になる。
ボクは恥ずかしくなって、つい目を逸らした。
「昨日の雨で地面はぬかるんでいるし、君がこけたら大変だ。」
そう言うとボクをお姫様抱っこして、ひょいと持ち上げた。
目の前にアウディの顔と向き合う。
「…や、降ろしてっ!ボク、一人で歩けるからっ!」
「ほらほら暴れない。君、歩きにくそうな様子だったし、こけそうだったじゃないか。君が怪我したらいけないから…ね。」
かああっと顔が熱くなるのを感じる。これじゃ女の子みたいだし、さらに恥ずかしさがこみ上げる。
「ケガをしないように守るのも、紳士の務めだよ。」
「メイド服とか着せて女装させるのが紳士なの?」
ボクの本音はスルーしてアウディは山の散歩道を、ボクを抱き上げながら進んで行った。
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