148人が本棚に入れています
本棚に追加
山道は朝日が照らされ、空気も澄んでいて、心地よかった。
こんな所で、まるでお姫様のように大切に扱われながら、山道を歩いていく。
そのまま真っ直ぐアウディの顔を見ることができなかった。
山道を越したところは景色がよく見える崖に繋がっている。
たどり着くと、ようやく降ろしてもらった。
アウディは見惚れるような表情で、真っ直ぐ見つめてきた。
「本当に君は美しいな。他のどの女性よりも。」
ボクの右耳にかかる髪と右目にそっと手を触れて、右頬に手を滑らせる。
ボクは戸惑い、目を逸らす。
「ボク…女の子じゃないよ。それとも、アウディにとってボクは女の子なの?」
「フフ…。何を気にしているんだい?君は君じゃないか。」
「じゃあ、どうして女の子の服を着せるの?」
「それは…。」
アウディは頬を赤らめながら、恥ずかしそうにボクから目を逸らす。
「僕の、趣味…みたいなもの、なんだ。君にこんな恰好させたら、きっと胸がドキドキするだろうと思ってね。今、現に胸が熱いんだ。信じられるかい?」
そう言い、ボクを両腕で抱き寄せる。
「何度でも言うよ。君は誰よりも美しい。綺麗で、純粋で…。」
さっきよりも強く抱きしめながら、ボクの耳元で籠るような声で言い、ボクの心がだんだんかき乱されていくような感じがした。
「あ、アウディ…?」
彼の顔を見ると、その熱い眼差しには、ボクを真っ直ぐ捕えていた。
それは彼が時々、ボクを強く求める時に見せる肉食動物のような眼差し。
最初のコメントを投稿しよう!