ボクとご主人様①

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心がえぐられたような気持になる。 屋敷にまで来るなんて…。 落ち込んでいるとアウディが二階に上がって来た。 手元には綺麗に梱包された小包を持っていた。 「やっと顔を見せてくれたか。」 ホッとしたような穏やかな表情でボクに近づき、小包を差し出してきた。 「君、今度こそ話を聞いてくれ!本当に君が思っていることは誤解なんだ!彼女はこの小包みを届けに来てくれただけなんだ!」 差し出された小包を前にボクは戸惑う。 「これは、何?」 「中身を開けて確認してくれたら、何か分かるよ。」 そう下されて、ボクは恐る恐る小包の中を確認する。 白いケースの中には指輪が入っていた。 訳が分からず一瞬ぽかんとしてしまった。 すぐ我に返りアウディを見上げる。 「アウディ、これって…。」 「今日はアレン。君の誕生日だろ?秘密にして驚かせようと用意していたんだ。」 アウディはそう言うと、指輪を手に取り、膝待づいてボクの左手に手を差し伸べる。 そしてボクの左手の甲に軽くキスをし、薬指に指輪をゆっくり嵌めてくれた。
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