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「Return it!」
たぶん、返せって言ってるんだ。
暗闇に1人取り残される恐怖と、異人に何かされるかもしれないという恐怖と、どっちがマシだろう?
私は、とにかく異人から逃げることを最優先にすることにした。
捕まれている腕をぶんぶんと振りながら、どうせ通じないのだからと言葉使いなんて構わずに異人相手にまくし立てる。
「あなたたち2人で2つ持ってるんだから、1つくらいくれたっていいじゃない!異人のくせに!異人のくせに!」
この2人の異人が何か悪いことをしたわけじゃないのはわかってる。
むしろ、今悪いことをしたのは私だっていうのもわかってる。
でも、でも……
「あんたたちさえ来なければ、母様はコロリで死んだりなんかしなかったんだ!!父様、だって、あ、あんたたちのせいで遠くでお仕事しなくちゃいけなくなったのよ!」
最後の方はぐすぐすと泣きながら。そんな私を見て、異人たちは困ったような顔をして手を離した。その拍子に、私は持っていた提灯を取り落としてしまい、火が消えてしまった。
「Shit!What a strange girl!」
異人たちは残り1つになった提灯を持って、去っていってしまった。
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