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おばさん家は、どっち?
火事の現場から離れれば離れるほど、あたりは暗闇に包まれていき、歩き慣れたはずの道で私は迷ってしまった。しかも、火事の明かりを当てにしていたから、自分の提灯を持っていない。
どうしよう、どうしよう、と、だんだんと冷静に判断できなくなっていく中で、少し先の曲がり角から現れた人影に、私はすがるように駆け寄った。
「あの…!」
「Wow! What's up, girl?」
どうしよう…。異人だ。
異人の世話にはなりたくない。
でも、背に腹は代えられない。
でも、やっぱり異人に借りを作るなんて…。
だって、異人は母様の敵だ。
悩んだ末、私は後で考えれば暴挙といえる行動に出た。
2人組の異人のうち、片方が持っていた提灯を奪い、走り去ったのだ。
「Hey!What're you doing!?」
何言ってるかはわからないけど男たちはとにかく怒っているようだ。私のことを追いかけてくる。必死に逃げたけど、男の人から逃げ切れるはずもなく、私は右腕を捕まれて動きを封じられた。
提灯に照らされた異人の顔はこの世のものとは思えなくて、化け物みたいにおっかなくて、私は自分のしたことを後悔した。
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