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序
予想に反して降り出した雨に、コンビニの軒先に逃げ込んだ。
ゲリラ豪雨というヤツだろう。
さっきまでの晴天が嘘のようにまっ黒な雲が空を覆っている。
雷を轟かせながら、激しい雨が降り注いでいる。
「……参ったな……」
コンビニの壁に寄りかかりながら零す。
俺の仕事は営業である。
新規開拓を主に行っている。いわゆる飛び込み営業というヤツだ。
だが、この豪雨ではそれどころじゃない。
全く、仕事にならない。
「もっとも、……晴れていても結果が出なくちゃ同じだけどな……」
手を抜いているつもりはない。
けれど、このところどうにも成績が上がらない。
繰り返すが、手を抜いているつもりはない。
ただ、成績が上がらないことで、やる気が落ち込むのだ。
……雨の中を走りだす元気は、今の俺にはない……。
「大丈夫ですか? 真っ青な顔をされているようですが……」
ふと傍らから声が掛る。
そんなにひどい顔になっていたのだろうかと、横を見れば……。
真っターコイズブルーの顔をした男が、俺の隣でニッコリと微笑んでいた。
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