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西の日
1日の終わりに、近づいていく。
地平の際で、輪郭が歪む。
花火は散る瞬間が美しいというが、太陽もまた
その姿を消す直前に何とも言えない艶を放つ。
その太陽の後を、黄色、橙、淡紫が追い、濃紺の闇を引き連れてくるのだ。
途中ですれ違ったばかりの雲々はまだ橙の(それも、蛍光の橙へと映える)余韻を残し、空を巧みに彩る。
はるか離れ闇を従えた雲々は、不思議に影を湛えた橙となり、日の出づるのを近くで見守る準備をする。
1日の最後の仕事に、皆を揃えて、どこからでも眺められるような、決して見放すことのないよう高い高い、遠い遠いところに大舞台を作ってくれる。
気が向いたときに、観に行けるように。
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