青に気をつけて

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青に気をつけて

 この占い師、私の性格をバッチリ言い当てたまでは良かったけど、その後はなんか胡散臭いなぁ……。今日、気になる男性と急接近するって? そんなこと、言われましても……。ちょっと信じられない。もうすぐお昼だし……、今日これから何かが起こるとは思えない。まあ、期待してみてもいいけど……。  占いが終わり、私は占い師の女性に頭を下げて、足元に置いたバッグを持ち上げる。 「あ、ちょっと……。お待ちなさい」  席を立とうとした私を占い師が呼び止めた。占い師は作り笑いのような、少し眉をひそめた表情で私を見る。 「やっぱり。言っておくわ……」  私は、何も言わずにバッグを膝に抱えて座りなおす。彼女は一度目線を上に向け、そのまま目を閉じる。 「青に……、気をつけて」 「はい?」  彼女の言葉に、思わず語尾が上がった。  彼女は目を閉じたまま、机の上の両手をギュッと握っている。そのままゆっくりと深呼吸して目を開ける。 「あなた、死相が出ているの……。今日……。でも、大丈夫。青に気をつければ」  一瞬の沈黙。 「青? 青って、何ですか?」     
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