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水野忠重は秀吉死去後は、内大臣とトップの官位を持ち、また秀吉が、秀頼が成人になるまでの政は家康に任すと遺言もあった為、お家を守る為に家康に近づいたのである。その時、家康は天下を狙っている為、有力大名を引き入れる為に婚姻が必要になる。しかし家康には手頃な娘もいない。だからそういう女子を我が養女として向かい入れ、嫁入りさせようと考えたのである。そこに水野忠重の娘であるかなに白羽の矢が立ったのである。
しかし加藤清正は当時37歳。かなは17歳。20も年上である。だからかなは嫌がったのである。でもかなが嫌がるには理由があった。
ある日、かなは部屋にて座っていた。本を読みながら。
「フ~」
雲一つない空を見つめて、暇すぎてため息をついた。世は秀吉が余生幾ばくも無い状態で、色々とバタバタしていたが、今のかなの周りはゆっくりと時間が流れていた。
そこに、トコトコと足音が聞こえた。
「う・・・」
かなはもしかすると加倉かもしれないと本にかぶさるように集中した。またなんだこうだ言われるかもしれないからだ。
しかし、かながビビる必要はなかった。なぜならそれは、
「かな姫様」
「文」
それは文だったからだ。文はすごくウキウキした顔で登場した。それがなぜかは、かなには分かっている。
「今日も逢っておったのか? 」
「はい」
文には恋人がいた。それは忠重の家臣の子であり、文やかなの1つ年上である。
「どんな感じじゃどんな感じじゃ? 」
かなは文に食いつくよう聞いた。
「そうですね~。すごく胸が痛いというか・・・」
胸が痛いと言われ、かながうかんだのは病気ではないかと感じたので、
「胸が痛い? そなた大丈夫であるか。すぐに医者に・・・」
「違いまする! 病気ではありません。これが色恋というものです」
文が頬を赤らめながらそう話すが、かなには意味が分からなかった。かなは忠重から厳しく言われているので城の外には出れない。どこに間者が潜んでいるか分からないというのだ。だから加倉のお目付けも厳しく、かなはずっと城に繋がれているような感じだった。だから、外での出来事は人づてにしか聞けないのである。
「イロコイ? 」
かなはポカンとした顔をうかべていたが、文は嬉しそうに答えた。
「はい」
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