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「…此処か」
地図にバツ印がある場所に到着した俺は、目の前の森を見る。
「また森の中に入るのかよ…やれやれ」
森に入って急に昼間から夜になるかのように暗くなり、正直言って道に迷いそうになる。
「……フム…」
どうやら、五感も良くなってるみたいだ。
正確には判らないけど、誰かに見られている。
「……」
しばらく様子を見よう。
向こうも様子を窺ってるみたいだし。
俺は気付かないフリをしつつ、奥へと進んだ。
そして、一軒の一戸建てを見付けた。
「ここが黒魔女の家か…?」
窓には明かりが映り込み、中の様子は判らない。
取り敢えず…。
「挨拶をしてみるか」
家のドアに近付き、ノックをしようとした直後、背後から「どなたですか?」と声が聞こえたから振り返った。
「…?」
「そこは黒魔女ヒルダの自宅。勇者軍の方ですか?」
右足がチラリと見えるスリットの入った紫色のローブと、年季が入ったとんがり帽子、そして、その下から見えた茶髪のロングヘアの美女。
しかも、右目に一眼メガネを着けていた。
「ちげーよ。あんなクソ野郎と一緒にスンナ。俺はその人を訪ねに来たんだ。アンタがそのヒルダって人か?」
「…取り敢えず、中にどうぞ」
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