表と裏の鏡合わせ──カヅキ

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どのダンスもジャズダンスとは違う面白味があって、ちょっと筋肉痛になったりもしたけど、先輩からは体幹がしっかりしていて勘もいいから、大抵のダンスは踊れるとのお墨付きをもらって、更にダンスにのめり込んだ。 習った後も自分で少しアレンジして、無理なく踊れるようにした。 無理して踊ると変な部分に負荷がかかって筋肉痛になるし、何より動かさなくても痛いのがつらい。 それでもダンスは嫌いになんてなれないけどさ♪ 「こんな感じかな…?」 体育祭当日。 オレはいつもの地味な奴じゃなくて、ダンススクールでぶっ続けで踊る、目立ちたがり屋で派手好きなオレの姿で学校に行った。 教室に行くまでもだったけど、教室で自分の席に着くと、ざわめきが一際大きくなる。 地味子なオレが派手な髪色と髪型で、表情もいつもと違ったんだろう…ってか、こっちが本当のオレなんだけど。 だけど、このざわめきさえもオレが目立ってるんだと思うと気持ち良かった。 オレは自信がないから地味だったんじゃない、本当のオレを出してしまえば、抑え所が分からないまま暴走する可能性があるから。 このことは両親や婆ちゃん、ダンススクールの先生と先輩にも言われて、オレはいつもの自分を隠して地味な奴を演じてきたんだよ。
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