表と裏の鏡合わせ──カヅキ

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先輩の言葉と嗚咽に込められた思いは、今までのオレから脱却する一歩のきっかけになった。 オレはケジメをつける為と思って、残りの学校生活は、真剣に受験勉強に取り組んだ。 やれるだけじゃなくて、やれる以上を目指すんだと、自分に言い聞かせて睡眠時間を削って勉強した。 推薦はとてもじゃないけど、何とか一般入試で受けられる学校を私立と公立で受けることを決めて、全力で臨んだけど、私立は歯が立たなかった。 公立はそこそこ解ける問題でよかったけど、受かってるかは微妙なとこだな。 これで受かってなかったら、母ちゃんにすっげーどやされるんだろうな…。 そう言っても、もうオレの受験は終わったワケで、ホッとしたら、急にお腹が空いてきた。 帰りにコンビニでおにぎりでも買おうかと思って鞄を探って財布を覗くと、明らかに帰りの交通費分しかない。 仕方なく、オレはグーグーと訴える腹をかかえて家に帰ったのだった。 せめて弁当は持参しとけばよかった…。 晴れて高校生になったオレは、地味は地味だけど、そこそこは愛想よくして、無難なキャラクターを周りに印象付けておいた。 やりたいことは自分で分かってるんだから、誰も知らなくてもいいんだ。
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