流星の夜明け──レオ

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それでも、目印になるものがほとんどない。 あってもすぐになくなる。 そう砂嵐で目印は砂に隠れてしまうし、人間やラクダは少しでも砂嵐がひどくない方向に進んでしまうから、砂嵐後の現在地が分からなくなる。 結局行き倒れはしても、隊商に助けられたり、盗賊に助けられることもある。 運が悪ければ死んでしまうけど、砂漠にはオアシスがあったりするし、オアシスを中心に街があったりもするし、意外と生存はできる。 だけど、今は生存は絶望的だと思ってほしい。 僕達の住む地域は内戦が頻繁に起きているからだ。 理由は思想の違いと宗教を巡るもので、いつも僕達のような貧しい民間人が犠牲になる。 無関係の僕達を巻き込んでまで、自分の正しさを主張するのは、敬虔な信者ではなく、ただの押し付けだ。 どれだけ偉い人が神様を崇めたところで、僕達に神様は何もしてくれない。 神様は貧乏人は好きじゃないのかもしれない。 僕達は神様に何度祈っても何も変わらないことで、みんな言わないだけで、誰も神様を信じなくなっていた。 僕達が信じた神様なんて最初からいなかったんだ。 僕達はただただいない存在をありがたがって祈っていただけ…。
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